みーにゃ「かっ・・・監督、フィーエルヤッペン用の棒を探して来ましたぁ」

監督「どれ、見せてみなさい」

みーにゃは向こう岸から手を伸ばして、監督の方に竹の棒を差し出した。
重みのためか不安がにじみ出ているためか、棒を支えるみーにゃの腕はわずかに震えていた。

みーにゃ「いつも道具を作るのに使っている竹藪の竹を切ってきましたぁ。強さとかしなり具合とか、すごくいいんです」

監督「ふうん。では跳んでみなさい」

みーにゃ「ふぁい」

みーにゃは数メートル後ろに下がり、棒の3分の2あたりのところを持ち走り出した。


たっ、たっ、たっ、たっ


ハリーさん「(みーにゃ、もうちっと速く走った方がよくね!?)」

タンっ、とみーにゃの足が地面を蹴った。

みーにゃの体は空に舞い上がった。みーにゃは棒をよじ登りはじめた。
おぼつかない登り方であったが、棒が垂直に届けば、向こう岸にかろうじて着地できそうであった。



その時。


ダダダダダっ


監督が走り出した。


みーにゃ「(えっ?)」
ハリーさん「(えっ!?)」


監督は勢いよく地面を蹴ると、みーにゃの方目がけてジャンプした。


監督「必殺フィーエルヤッペン破り!!」


監督はみーにゃを支えている、もうすぐ垂直になりそうな棒を両手でつかむと、それを軸に体を翻し、さっき蹴ったばかりの川岸に着地した。

みーにゃ「うわっ」

ボチャン。
支えを奪われたみーにゃは鈍い水音を立て、川に転落した。
みーにゃは慌てふためいたが、なんとか川底に立ちあがった。

みーにゃ「(何すんだよ・・・)」
監督「上がってきなさい」

みーにゃはザバザバと水流をかき分け、自力で対岸に上がった。

みーにゃ「(ずぶ濡れじゃねえか)」

黙って非難のまなざしを向けるみーにゃにはおかまいなしに、監督は真っ白なハンカチをポケットから出すと、みーにゃの前にひざまずいた。

監督は濡れたみーにゃの右手を取ると、親指から順番に指をふきはじめた。
小指まで丁寧にふき取ると、ニッと笑ってみせ、真っ白な歯を光らせながら言い放った。

監督「これでよしっ」
みーにゃ「(いやいや、他に拭くとこあるだろうが!! 全身ずぶ濡れだって見りゃわかるでしょうがっ!!)」
監督「俺は次は4メートルにチャレンジする。そこでみておけっ」
みーにゃ「ハイ・・・(あっそう、勝手にすれば)」


少し川幅が広がっている地点に移動し、監督は勢いよく走りだした。




ダダダダダっ 

⊂('ω'⊂ )))Σ≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡ブーン



ハリーさん「(あっ)」
みーにゃ「(ああっ)」



バシャン



監督のチャレンジはあえなく失敗した。
監督は水面に顔を出すとすぐ、クロールでこちらに向かって戻ってきた。
監督は岸に上がるなり言い放った。
監督「よしっ。次は5メートルにチャレンジだっ」
ハリーさん「(いや、4メートルに失敗したのに次は5メートルって何!?)」
みーにゃ「(この人何考えてんだろ・・・)」

みーにゃは置き捨てられた竹の棒を取りに走り、それを監督に差し出した。

みーにゃ「これ、使ったらどうですか?」
監督「いらぬ!!」
みーにゃ「でも・・・」
監督「いらぬ!! そこで見ておけっ」




ダダダダダっ 

⊂('ω'⊂ )))Σ≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡ブーン

・・・バシャン。



ハリーさん「(あーあ)」
みーにゃ「(あーあ)」



バシャバシャ~~~~ヽ(冫、)ノ



監督は鮮やかに水を切って泳ぎ、すぐさま戻ってきた。


監督「よしっ。次は6メートルにチャレンジだっ」

ハリーさん「(はあっ?)」
みーにゃ「監督ぅ、4メートルも5メートルも跳べなかったのに、6メートルは無茶ですっ。これ使ってください」
監督「いらぬっ!!」
言い放つと同時に監督は走り出した。



ダダダダダっ 

⊂('ω'⊂ )))Σ≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡ブーン

・・・バシャン。



ハリーさん・みーにゃ「・・・・・・。」



バシャバシャ~~~~ヽ(  )ノ~~ヽ(冫、)ノ



みーにゃ「ハリーさん、私もう帰るね」
ハリーさん「待って、みーにゃ」
みーにゃ「帰るったら帰る!!」
ハリーさん「ヒマワリの種あげるから」

みーにゃはチラリとそちらを見たが、顔を背けてしまった。


濡れた髪を翻しながら、みーにゃの背中は遠ざかって行った。